2025.01.31
#72「黄黒」のこと
『笹川美和 The Phoenix Hall Concert vol.3』。
昨日無事終演。
今回のあれこれは、昨日のセットリストで弾き語りした1曲「黄黒」についてお話ししてみようと思います。
“おうこく”と読みます。
メジャーデビュー前のインディ時代にリリースした作品です。
だから今回歌うのは、多分21年ぶり?だと思う。
メジャーデビューしてからは歌っていなかったような、、、
そんなこの楽曲は二つの事象からできた曲です。
一つ目。
今は地元の紫雲寺保育園がある場所。
私が小学生の頃は松林と使われていない畑でした。
そこに、すでにタイヤの空気が抜けている、木枠のない錆びた骨組みだけのリヤカーが放置されていました。
松林から畑にかけてはなだらかな坂になっていて、学校帰り友達たちとそのリヤカーに乗って坂を下ると云う遊びに夢中になっていた頃がありました。
もちろん下り終われば、えっちらおっちら坂の上まで引っ張ります。
小学低学年くらいだった私達からしてみればなかなかの重労働です。
それでも、砂地、その上タイヤの空気も抜けているせいで、進路が都度変わり分からないのでスリルがあり、飽きもせず日が暮れるまで遊んでいました。
二つ目。
高校生のある日、私は夢を見ました。
それはすでに保育園がたち面影のなくなった、いつかの松林と畑に、今の私が立っている夢でした。
ただ一つ実際と違っていたのは、何もなかった畑は、一面が眩い光を含んだ金色の麦畑になっていることでした。
黒い松林と、金色の麦畑が本当に美しかった。
願いを託したくなるくらい、美しく神々しい景色。
作曲当時18才で、迷いの中にいた私は、その夢にさえ答えを求めたのだと思います。
それが「黄黒」の背景です。
さて、その古びたリヤカーには名前がありました。
“ボンボログルマ”。
今日も行く?ボンボログルマ!
うん!
二度と戻れない、愛し過ぎる思い出です。
「黄黒」 作詞/作曲 笹川美和
金の麦畑よ
この実りを我に与えよ
例えこの実りが 解き放つとも その行く先は
運命のみぞ知る
運命よ 運命よ 我が運命に
永遠の愛はないのですか?
あたしが脆く愚かだからですか?
だから愛は早すぎると言うのですか?
ならばせめて永遠の笑みを
あたしに与えて下さい
黒い松林よ
この香りで我を包めよ
今この香りが 霧に変わっても その行く先は
運命のみぞ知る
運命よ 運命よ
我が運命に永遠の明日はないのですか?
あたしの心弱く流るからですか ?
いつか明日はめぐり来ると言うのですか?
ならばせめて永遠の笑みを
あたしに与えて下さい
あたしに与えて下さい
あたしに与えて下さい
※写真はいつかの新潟で撮った写真。なんとなく実った稲穂が夢で見た麦畑想起させて撮ったんだよね。